19、円長山篭

紀州の人である。
住み慣れた場所を離れて、この高野山の伽藍結界の地へやって来た。
舜覚上人を師とした。

そして理趣経・阿弥陀仏・尊勝・仏頂などの経典をよくたもっていた。
持戒の行を積み、精進し続けた。
それだけではなく、三部の大法を何年も勤めていた

永万元年(1165年)1月18日、往生の時がやって来た。
軽い病がたちまちに除かれた。
一心に仏を念じ、両眼をすぐに閉じた。
誠にこの寿命が尽きるときというのは歓喜の時なのだ。
まるで様々な病を捨て去るが如くに・・・。


注記

1165
高野山の住侶。
苦界を厭い、高野山に登り、寛舜を礼して剃髪受戒し、人事を杜絶し、理趣経・阿弥陀経・尊勝陀羅尼などを誦じ、戒を磨き、智慧を挑げ、三部大法に精錬すること長年。
永万元年1月18日正念往生する。
享年不明。


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